公園でくつろぐ人

毎朝、最寄り駅までの通勤路にある公園のベンチでくつろいでるサラリーマンがいる。

仕事前の一服なのかタバコを吸っている。

公園内での喫煙は褒められたものではないけれど、会社前にのんびりしたい気持ちは分かるぜ、と勝手に共感していた。

この前、朝から雨で出勤が憂鬱な日。

とはいえ、行かないわけにもいかず駅までの道を歩いていると、傘の隙間から公園に人影が見えた。

あのサラリーマンだ。

雨の当たりにくい木の下に移動したものの、完全ではない。傘をさして座っていた。

絶対に曲げない強い意志を感じた。

みんな様々な葛藤を抱え、生きているんだな。

家では好きで結婚したはずの妻から疎まれ、子からは馬鹿にされ、会社では年下の上司に仕事のセンスがないと言われ、唯一誰にも邪魔されずに過ごせるのがあの公園。

今まで何か壁にぶち当たると逃げてきた僕だけど、このサンクチュアリは手放さないって決めたんだ。

雨が降ってるなら木の下に入ればいい。傘をさせばいい。

ま、だとしたら、だから居場所がなくなるんだよ、ってやつだな。

今日は春の陽気、今日も公園のベンチにサラリーマンがいた。