自画自賛

自己満足のためのブログ

ハートウォーミングな満員電車

僕が通勤に使う電車は、乗る車両さえ間違えなければ、さほど混むことはない。だから、満員電車のストレスを味わうことはほとんどない。
それなのに今日はわざわざ一番混む先頭車両に乗ってしまった。しかも一番混む時間帯に。何故かと言われれば、魔が差したとしか答えられない。もしかしたら、Jack Johnsonを聴くほど気分が良かったからなのかもしれない。
人は常に合理的な選択をするわけではない。



しかし、現実は合理的に存在する。
皆の目指す終点の駅で一番改札に近い先頭車両は、猛烈に混んでいた。自分でここと決めたポジションはあっさり剥奪され、捕まっていたつり革がどんどん遠くなっていく。つり革からつり革へ渡り歩き、ようやく落ち着いたところで電車が走り始めた。体勢はキツイけれど、まぁ2駅なので何とかやり過ごせる。

ふと前を見ると、背の低い女性が人に埋もれ、潰されていた。しかも、僕の腕が彼女の上を通っていて、彼女はつり革を掴めないでいた。僕は腕のポジションを変えた。

彼女はつり革に掴まった。
僕は音楽を聴いていた。


終点で皆が降りるとき、彼女が僕の方を向いて言った。

「本当にありがとうございました。つり革、本当に助かりました。ありがとうございました!本当に、助かりました」

僕は、ただ微笑んだ。彼女がお礼を言っている間、ずっと微笑んでた。かなりの時間、微笑み続けていた。。









不意打ち過ぎて、何も返せなかったよ〜。
イヤホンしていて、反応遅れたよ〜。
朝、頭働いてなかったよ〜。


微笑んだと言っても、わずかに口角が上がっただけで、彼女にお礼を言って頂いた事への感謝を伝えるには余りに足りない。そもそも、お礼を言われるほどのことをした気はない。どちらかと言えばマイナスからゼロへ戻した感じ。

ちゃんと、「いえいえ、こちらこそ最初邪魔していてすいませんでした」とか「いえいえ、わざわざありがとうございます」とか言いたかった。


僕としては悔いの残る出来事だったけれど、彼女の心の温かさにちょっとにやけてしまう気持ちのいい朝でした。



満員電車の乗り方も優しい一言でこうも変わるかと、思うのでした。